スイートバイオレット(ニオイスミレ)の基本情報
学名:Viola odorata 英名:sweet violet
学名:Viola odorata 英名:sweet violet
和名:ニオイスミレ
科名 / 属名:スミレ科 / スミレ属
特徴
スイートバイオレットは、冬の花壇に欠かせないパンジーやビオラと同じ、スミレ属の多年草です。冬から早春にかけて2cmほどの香りのよい花をひそやかに咲かせて、花が少ない季節を彩ります。この開放花もタネをつけますが、気温が高くなる5月になると、葉の陰で小さな閉鎖花をつけて自家受粉したタネをつくります。どちらのこぼれダネも発芽してよくふえますが、花後に株元から伸びるランナー(ほふく茎)でも、横に広がります。
日本は国土の狭さのわりに数多くのスミレ属を産することで知られますが、スイートバイオレットはヨーロッパから西アジアが原産です。紀元前320年ごろにはすでにギリシャなどで栽培され、アテネを象徴する花となっていました。イギリスではチューダー朝のころにはさまざまな色の品種が庭園で栽培されるようになり、19世紀以降、愛好家がふえるにつれて育種への取り組みが盛んに行われました。2回の世界大戦により多くの品種が失われましたが、いくつもの栽培品種が現存しています。

花を溶剤抽出した香料は甘いフローラルな香りで、以前はフローラルブーケ調の香水などによく使われていました。安価な合成香料が発明されたため、現在では、香料用にスイートバイオレットを栽培することは少なくなりました。他方、葉を溶剤抽出した香料は青臭い香りで、高級な香水の材料になるため、今もエジプトで少量生産されています。
市販のスミレの花の砂糖がけのようにエディブルフラワーとして利用したり、薬用で内服したりしますが、大量に摂取することは避けましょう。また、タネや根茎には神経毒性のビオリンなどが含まれるといわれ、注意が必要です。
「八重咲きニオイスミレ」という名で流通するパルマスミレは、現在はニオイスミレ(スイートバイオレット)とは別の種とされます。耐寒性が弱いのですが、花の香りが強くて甘い点が好まれます。
種類(原種、園芸品種)
パルマスミレ
Viola suavis
八重咲きニオイスミレの名前でも流通するものもあるが、ニオイスミレとは別種。花の香りが甘くて強い。耐寒性は弱い。

パルマスミレ‘パルム・ド・トゥールーズ’
Viola suavis ‘Parme de Toulouse’
花色(紫系)に濃淡の幅がある。よく流通しているパルマスミレの一つ。芳香が強い。